CHIHIRO ONITSUKA
'LIVE VIBE 2002'
　

2002年3月26日（火）19：00〜＠渋谷公会堂

2000年2月，鬼束ちひろが「シャイン」でデビューしたときに，ランドマークタワーの山野楽器にポスターが貼られていたのは良く覚えている．なんか老けた新人さんだなあという印象を受けた．
2000年8月，大ヒットした「月光」については，暗い曲だなあと思っていた．
2000年11月，「Cage」をミュージックフェアで耳にして，鬼束ちひろに興味を持ち始めた．ビデオクリップを富士の樹海で撮影したという話が印象に残っている．
2001年2月，「眩暈（めまい）」で，すっかり鬼束ちひろのことが好きになった．初のライブツアーのチケット取りにも挑戦した．取れなかったけど．
2001年9月，『爆破して』という詞がある「infection」は，アメリカへ向かう飛行機の中の機内番組で初めて聞いた．その後にテロ．帰りの飛行機でも，この曲はかかっていた．
そして2002年2月，鬼束ちひろのライブチケットを手に入れた．その日を迎えるまでの興奮といったら，それはまだ芝居を見始めた頃に感じていた，不安と期待と緊張が交じり合った興奮．最近は芝居のチケットを取っても，それ自体に感動はなくなっているし，久しぶりにびりびりと体全身で感じるワクワク感であった．
そんなわけで，以下，鬼ライブのレポートである．曲順を書いてしまうので，これから見る人は要注意．（曲順はもしかしたら間違っているかもしれない．）
午後6時，渋谷公会堂に着く．周りを見まわすと，客層は幅広い．女子中学生と思われる2人組みがいたり，会社がえりの先輩後輩風カップルがいたり，夫婦と思われる熟年カップルがいたり．車椅子の人も5，6人来ていたようだ．なんだがみんな緊張していたように思った．僕もかなり顔を紅潮させながら，開演を待った．
7時5分になり，バックのメンバーが登場し，その後，白いワンピースの鬼束登場．サンスポによれば，前日は黒のワンピースだったとのこと．案の定，ハダシであった．会場からは「かわいー」と声が飛ぶ．本当にかわいい．テレビ等で見て想像してたよりも，実際は小さい感じ．（これが最後には，大きく見えるようになったのだが．）
１　ROLLIN' スタートは今月発売になったアルバム[This Armar]の1曲目．予想通りだった．シングルの鬼束と違い，アップテンポなノリノリの曲で，非常に好きな曲．[This Armar]を聞いたときは，この1曲目を聞いただけで，このアルバムへの期待は裏切られなかったと思えた．そんな1曲．
　歌い出すと，壁際の十数人と，真中の席数人が立ち上がったのだが，全体としてはみな座って聞いている．あとで知ったのだが，鬼束自身が「疲れるから座って聞いて欲しい」とコメントしたことがあったらしい．そのせいか，結局最後まで，大半は座って聞くこととなる．僕としては，ホントに良い意味で疲れたライブなので，座ったまま聞けて良かった．それでもノリノリなので，手はたたき，足は打ち鳴らす．
　鬼束もかっこいいが，パーカッションの人（楠木ひとしさん）がまた輪をかけてかっこいい．連れは今日一日，彼を中心に聞くことを決めたようだ．
２　眩暈（めまい） 「初日（前日）前も寝られなかったけど，今日も緊張で寝られなかった」とのMCのあと，2曲目で早速大好きな「眩暈」．えー早過ぎるよお，と思ってしまった．ライブの空気になじんだときに，ゆっくりと聞きたかったけど，聞きなれた曲でお客さんをつかんでしまおうという作戦かな．
３　流星群 さらにたたみかけるように，最新シングルが！うー，早過ぎる．（この曲も「眩暈」系の曲で，やわらかな映像のビデオクリップがとても良いです．素な感じで笑うシーンがあって，そこがとっても印象的．）
４　新曲 ROLLIN’風な，ノリノリの曲．ファンの間ではこの系統の曲をチヒロックと呼んでいるようだ．良い感じです．「この指が〜」と歌っていたように記憶する．
５　シャドウ ここでちょっと落ち着いて，いわゆる鬼束節な，暗めのゆっくりとした曲．やっとアルバムの曲だと安心した．このアルバムはかなりお気に召しているので，全部聞きたいからね．曲前にどっか異空間へワープするような映像の演出があって，これを僕は，この曲からコアな鬼束ワールドへ向かうのね，と解釈した．
６　LITTLE
　　BEAT RIFLE		 （この曲の位置があやしい．ひとまずこの位置に入れておく．）
曲前に，バックのメンバーが下がって，鬼束一人イスに座ってのMC．犬の肉球が好き．良く触る．という話になった．連れも普段から肉球が好きだと言う人で，親近感が湧いたようだ．曲はアルバムバージョンでしっとりと．
７　Our Song もう1曲しっとりと，アルバムから英語詞の曲．やわらかくやわらかく．
８　Jewelのカバー 鬼束が大好きなJewelのカバー曲．なんて曲だかわからなかったが，近くの席から「ほー（その曲をやるのか）」という感嘆がもれた．オリジナルを知らないせいか，完全に鬼束にマッチした曲だった．同じ英語詞のOur Songよりも鬼束っぽいと思う．
９　？のカバー もう一曲カバー．誰の曲で何て曲だか聞き取れず．チヒロックと呼べるような，ハードなナンバー．鬼束がよく移動中などで聞いている曲とのこと．ピアノで参加しているプロデューサーの羽毛田氏もギターで参加．メンバーがみんな気持ちよさそうにプレイしてた．ただ，鬼束の声が埋もれちゃっていたので，ちょっと彼女には向かないかなと個人的には思った．
１０　茨の海 さて終盤．この曲から，出来が大きく変わって，すばらしく良くなる．（それまでも十分良かったけど，それにも増して，という意味で．）アルバム2曲目で，とても良い曲なのだが，目立って良いという感じでなかった．が，生で聞く「茨の海」はすさまじく素敵だ．言葉にうまくできないが，鬼束にスイッチが入ったのを感じた．
１１　月光 そして，かの有名な「月光」．そんなには好きではなかったのだが．．．．この日から僕は大好きになりました．この曲はすごすぎます．楽曲といいパフォーマンスといい，鬼束の曲の中でも，曲の持つ力・歌声の持つ力が頭抜けてます．すごいです．惹きこまれました．言霊が飛び交い，彼女に何かが降りてました．
１２　Cage さらに，余韻を引きずったまま，すさまじいパフォーマンスが続きます．声量があり，迫力があり，そしてスピードがある．良い意味で，この曲の怖さが表現されていたように思う．
１３　シャイン とどめは，デビュー曲．僕は完全にさらわれました．CDでしか聞いたことがなくて，なんか地味な曲がデビュー曲なんだなあと思っていたのだが，目の前で歌われたシャインは，強烈でした．
１４　everything,
　　　in my hands		 3曲続いた強烈なシングル攻勢のあとで，テレテレのかわいいMCで空気がなごむ．「最近辛いことあった？オニはあったのね．トゥナイト２が終わっちゃうの」という話．「エッチな番組だと思ってたでしょ？でも深いんだよ．トゥナイト３に出たいな」とのこと．ほほえましく，会場に笑みが広がる．
　で，曲はノリノリ．鬼束はのびのびと歌い，会場は手拍子で応える．この日の出来は本当によかったらしく，ファンサイトでもこの曲はかなり良かったという声が聞かれる．鬼束自身，曲終わりで「はしゃぎすぎちゃった」．
１５　CROW 大満足のライブもいよいよラスト．本編最後は，アルバムの核をなす曲．鬼束らしい自己の内面を吐露する詞に，雄大で気持ちのいいメロディ．ゆっくりと，ゆっくりとかみしめました．けど，あれ，あの曲やってないジャン．．．．
１６　infection
　　　（アンコール）		 という不満は，ここで解消．多くの拍手で迎えられたアンコールは，infeciton．最後まで，声もぶれることなく，クオリティの高いパフォーマンスでした．
というわけで，最後まで座っていたけれどもへとへと．気持ちのいい興奮と疲労感．すごかった．期待通りに終わって大満足．終わってみて，鬼束ちひろという人の，幅広い音楽性と強烈な表現力に，本当に感動．しばらくは，鬼束の曲が僕の家でかかりまくることとなるだろう．鬼束ちひろのさらなる活躍を期待しつつ，次回を待ちたい．
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