| 詳しく覚えていないのだが，初めて球場で観た阪神は，小学校4年くらいのときの夏休み，後楽園での巨人戦だったと思う．同じマンションに住むK君に誘われて観に行った．K君はお父さんが読売新聞に勤めていて，その関係で券が手に入ったのだったと思う．当然K君は巨人ファンだった．
巨人の先発が定岡だったことをかろうじて覚えているのだが，他に誰が出ていたのかは覚えていない．試合は阪神が勝っていて，試合が終わる前にK君が怒ったように「どうせ阪神が勝つからいいでしょ．帰ろう」といい，最後まで観ずに帰った． せっかく連れてきてもらって，阪神が勝ったんじゃもうしわけないなー，と恐縮しながら帰ったのだが，その途中で興奮のせいか僕は鼻血を出してしまった．体は正直である．「何も鼻血を出すほどよろこばなくても・・・」と，おそらくK君は思ったことだろう．心とは裏腹に，巨人ファンの気持ちを乱す阪神ファン．我ながら度を越したトラキチぶりであった． |
| 阪神ファンが阪神について語るとき，欠かせないのが1985の優勝．当時小学校6年だった僕は，中学受験のための勉強をしながら応援をしていた．優勝を決めた神宮でのヤクルト戦や日本一を決めた西武球場での戦いも忘れがたいが，強く印象に残っているのは4月5月の前半戦である．
強烈に覚えているのは甲子園でのバックスクリーン3連発．そして木戸のスクイズによる1点を守りきった試合．この年の阪神を象徴する派手な試合と地味な試合．テレビとラジオを通じて生で体験できたのは，阪神ファンとして幸せであった．あの幸せがあったから，今日までファンでいられるのかもしれない． けど，そろそろいい目にあってもいいよなー． |
| 1995年の優勝以来，阪神は泥沼に落ちて行く．翌年掛布が怪我をして調子を落とすと，バースの三冠王もむなしく3位に転落．そしてバースが去り，掛布が去り，岡田が去り．．．．いつしか5位だの6位だのが定位置となった．
しかし，神は見捨ててはいなかった．奇跡は再び訪れたのだ．1992年．中村監督の元，阪神は再び勇姿を見せる．新庄・亀山・仲田・田村．．． 幸せだった．うんうん．よかったよ．うんうん．当時大学1年の僕は，優勝を目前に控えた10月，神宮に阪神を応援に行く．生涯2度目の阪神戦である． 優勝するためには負けられない目下の敵ヤクルト戦．先発は中込．試合は阪神優勢で進み，8回を終わって2点差くらいで勝っていた．「おし，いける」とレフトスタンドの誰もが思っていた． しかし，しかしである．中込が打たれ雲行きが怪しくなる．．．ピンチを迎えリリーフ登場．なんと湯舟がマウンドへ．レフトスタンドは大盛り上がりであったが，僕はやーな予感がしていた．「湯舟は抑え向きじゃない．」 当たって欲しくない予感はあたる．最後はレフトを守っていた八木の前へサヨナラヒットが落ちる．たしか飯田だった．ふう，田村がいればなー．（怪我で戦列を離れていた．） この敗戦で息の根を止められた阪神．結果は巨人と同率の2位に終わり，優勝は野村ヤクルトだった． |
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