ボストン・デイズ

夜7時にボストンへ戻り，中華街で中華を食べて，9時に家に戻る．今日一日でだいぶアメリカでの車の走り方に慣れたと思う．なかなか走りやすいので，車を買ったらいろいろと各地を旅行してみたいなと素直に思った．

夕方より，YTが幹事の某日本人会の新歓に参加する．自分はそこの所属ではないけれど，YTとのコネで参加させてもらう．多くは家族を連れてきており，非常に和気藹々としたパーティ．うちと同じくらいの子供もいて，無性に娘が恋しくなる．そこの人たちは基本的にビジネスのネタを探しているようで，こちらの話を興味深く聞いてもらった．うちの会社と仕事をしたことがある人もいて，「おたくはとっても応対が良くて好印象です」と持ち上げられた．また，僕と同じ会社から来ているIKさんにお会いし，ご挨拶させていただく．これから住むところの近くに住まれているとのことで，今後も親しくさせていただくこととなった．パーティー中にRedSox-Yankeesが始まる．松井が打ってもBOSTONが打っても盛り上がった．試合は大差でYankeesが勝つ模様．3タテですな．

来週はちょっとしたデモウィークなので，周りが準備で騒がしくなる．僕はといえば結局今回はパスとなり(来て2週間分の成果をデモだなんてやっぱ無謀だよね．成果はあっても見せられる形にはそうそう直ぐにはなりまへん)，ひとり蚊帳の外．気楽な感じで書類をまとめ，ボスにメールした．

夕方，同じ仕事をする上司らがここボストンに到着．ひとまず飯でもとなった．クラムチャウダーを所望され，Web等で調べて，East Coast Grillというところへ行った．なんだがすごいはやっていて，めちゃくちゃ沢山お客が来てた．Oysterなどとても美味しい．量は多くて持ち帰り，明日の昼食にしようと思う．

昼はテリヤキカフェへ行ってテイクアウト．わざと半分残して夕食にまわす．午後はハードウェアのセッティングへ．すると，事前に考えていた機器構成では不完全であることが判明し，青ざめる．なんとか対策を練って上司の承認を取り付け，追加機器の発注をした．そしてまた引き続き残りの機器セッティングをしていると，なんと電源ケーブルが一本ない．やばい．日本から取り寄せるとしても当座はどうする？ 私物のノートPC用の電源ケーブルが使いまわせるんじゃないかと思い立ち，ホテルに戻って確認．上手い具合に使いまわせそうで，再び胸をなでおろす．

そして夕方のコアタイム．ボスとミーティング．いいアイデアはなかったのだが，その場でちょっと口にした一言を発端に，ボスがひらめき，ひとまずの結論に達する．君のアイデアだと言ってはくれているが，最初のきっかけを大きく転がす力と速さが僕にはまだない．けどまあ，ひとまずの目処がつき，今日3度目の息をつく．今日の宿題は，その結論をまとめること．ふう．

夜は事務処理．この日はFedExによる書類の送付処理に挑戦．Webで申し込むのだが，どうも上手くいかず，カルフォルニアに助けを求めるメールを書いた．すると電話してよと言われて，勇気を出して電話する．けっこう平気だった．しゃべる英語はひどいものだが，まあなんとか電話もいけそう．すこし勇気が出る．

そして最後は明日の宿題の準備．結局11時を回るまでオフィスにいた．まだ終わってないが，続きは明日．

昼は韓国人SJと日本人OYとのチームディスカッション．OYが昨晩「電車男」を読んだという話をしたものだから，うれしくなって英語で一生懸命その全容をSJ紹介する．細かい点はともかく，面白さとか雰囲気とかは伝わっていたようだ．しかしこんなにはやく電車男の話をボストンですることになろうとは．しかも日本では本になってるじゃない．

午後はチーム対抗のアイデア披露大会．僕らを含め7チーム．完成度で言うと僕等のチームはまだまだだが，オリジナリティの点では負けてないと感じる．他のチームはどこか過去の例を引きずっている感じがした．披露大会が終わると，韓国人女性HCちゃんが話しかけてきてくれて，「あなた達のアイデアはとてもいいと思う」と言ってくれた．本当に気に入ってくれたんだ思うけど，それに加えて，仲良くなろうと話しかけてくれたんだと思う．HCちゃんはオフィスの部屋が隣で，これまでも挨拶くらいはしていたのだけれど，会うたび素敵な笑顔を返してくれるので，どうやら彼女は僕と仲良くなれると思ってくれたんじゃないかと思っていたのだが，その通りだったようで，ちょっと嬉しい．

そして夕方．ここのコアタイム．ボスと宿題の議論．午前と違って相談でなく討論だから，なかなか厳しい．英語も論理もどちらもなかなか思うように表現できず，苦しみながらの議論．一応最後には落としどころを達する．しかしまたも新課題アリ．いいアイデアが浮かべば明日また議論という感じ．こうしたスパーリングは大変ありがたいことです．しかしなかなか疲れる．この疲れに見合うだけ，僕は成長しているのだろうか．イチローのように，自分の可能性を諦めず，小さな一歩でいいから数多く重ねて行きたい．

コアタイムが終わっても仕事は終わらない．一日の最後に事務処理をこなす．帰りはすっかり遅い．しかもこの付近には夕食を食べるようなところがなく，いわゆるコンビニみたいな便利な店もなく，すなわち夕食を買うところが無い．実は昨日は日曜日の残りご飯が夕食だったのだが，今日は今日で昼に少し残した分が夕食となる．こんな食生活に不安が若干つのる．

10時15分ごろそこを出発し，フリーウェイに乗ってまずはLexingtonへ．植民地兵士軍とイギリス連隊との最初の戦闘が起こったところ．車も難なく停める事ができ，天気の良い中いくつかの史跡を巡る．紅葉もきれいで，町並みも雰囲気があり，楽しい観光．全然違うといえば違うんだけど，タイで友人GPと巡ったアユタヤの街を思い出す．

12時を過ぎる頃にLexingtonを発ち，隣町のConcordを目指す．ここは植民地兵士軍の武器弾薬が保管されていた場所で，きれいな橋や湖があるという．有名な文学者（ヘンリー・ソローやルイザ・メイ・オルコットなど）が住んだ町でもあるらしい．

KKのナビは的確で，Concordへも難なく到着．古い橋や紅葉を楽しみ，資料館でお土産を漁る．土産屋で街の中心部の場所を聞いて移動し，そこでサンドイッチを購入．多めに買って明日の昼食に半分まわすことにした．店の数も少ないからか，とても繁盛していた．小さな子供づれも多く，遠い日本を思い出したりする．

昼食後はまた車で移動してウォルデン湖へ．夏は湖水浴場と化して大勢が泳ぎにくるらしい．そしてもう10月だというのに，一人の老人はこの寒さのなかで泳いでいた．湖の対岸には作家ヘンリー・ソローが住んでいたキャビンの跡があるといい，ちょっとした距離を歩いて見に行った．

そうこうして2時半となり，そろそろCambridgeへ引き返すことにする．道路は空いており帰りも順調．途中で長い坂を下る部分があり，そのとき遠くにボストンの高層ビル群が良く見えて，とても気持ちがよかった．

Cambridgeに戻ると，この日最後の課題であるガソリンの補充．初めてセルフで給油した．最初車の給油口の開け方が分からず右往左往する．きっと口を開けるスイッチが運転席付近にあるのだろうと探したのだが見つからず，結局手で直接開けられると知って唖然．そんなものなんでしょうか．

給油を無事に終了後，車を返し，お茶をして，街を少しふらついた．この日の夕食は友人YT一家も交えての韓国焼肉の予定だったが，一家みんなで体調を崩してしまったとの連絡をうけ，結局KKと二人でベトナム料理を食べた．その後パブでビールを2杯のみ，いろんな話をして，宿に戻る．リラックスの3日間終了．明日再びサバイバルへ．一応アイデアを出した宿題が気になりつつも，ほろ酔いで眠い．