見終わっての第一声：

「だ，だまされた．．」

予告編での刺激的なトムとニコールの絡みは，
本編で（視覚的には）一番刺激的な場面である．
それが映画の前半に登場し，
エロチックな映像はほぼ出尽くしてしまう．
ある意味ではがっかり．
しかしこの映画の面白さは，そこから始まる．

僕が面白いと思ったのは，すべてトム・クルーズの場面．
映像的美しさを除くと，ニコール・キッドマンの印象はあまりに薄い．
この映画の核は，トム・クルーズ演じる医者のビルが追いかける謎である．
ビルが迷い込む仮面パーティに秘められた謎．
急に姿を消す友人．後をつけてくる男．知り合いのモデルの死．
「性」という次元を超えた，何かやばいことに手を出したかのような胸騒ぎ．
派手なアクションは一つもないのに，ハリウッド級の超スペクタクル．

そんなスペクタクルに対して，
観客が知らず知らずのうちに「映画」に期待してしまう展開を
ことごとく裏切ってくれる．
そのことに気がついて次を予測しても，また裏切られる．
この映画の最大の魅力は，キャストでもモチーフ（性）でもなく，
こうした展開にあると思う．
キューブリックおそるべし．これは確実に映画史を代表する1本であろう．

最後に，いくつか．

• 演出は非常にシンプルである．びっくりするくらい．
• 男を代表しているビルは，見た目はいけてるが中身はそうとういけてない，一般的なやつである．日本人もアメリカ人もいっしょじゃん．
• ニコール･キッドマンはとても綺麗だ．見ていて某女史を思い出した．ちょっときつめのいい女．そして怖い．こういう人にどうも僕は弱いらしい