 映画なんていつでも観に行けるさと思っているうちに，気がつくともう9ヶ月も劇場で映画を見ていなかった．久しぶりに出かけたスクリーンは，僕が最も好きな有名人女性である【八木亜希子】嬢のデビュー作．重い腰が上がったのは，1年に1度の逢瀬の日である七夕の日だった．
本作は，監督三谷幸喜が家を建てた体験を元にした家を建てる映画である．「ココリコ田中＆八木亜希子のフレッシュコンビが主役」「唐沢＆田中邦衛の対決」「家を建てるハウツーもの」とキャッチも多く，今日現在で大ヒットロングランとなっている．パチパチ．イギリスでの上映も評判が良かったようだし，三谷さんよかったねえ，という感じである． 僕が見た回は，キャパ300の劇場に90人くらいと3割程度の入り．多いとは言えないが，普段映画を観なそうなおじさんおばさんが集まっており，まずまずの成功感をかもしだしていた．実際面白い作品だった．キャスト表にも出てない秘密の有名人の出演もあってお得だし，見て良かった作品である．注目の八木さんの演技は上手だった．飛び出す目玉にもびっくり． しかしながら，100点満点はつけられなかった．その理由は，若夫婦が住んでいる部屋・建てる家が豪華すぎて，経済的に共感できないのである．面白くするためとはいえ，建つ家はかーなーり豪華．なのに施工主の若夫婦は経済的には困らない．映画の嘘といえばそれまでだが，せっかくのハウツー的要素があるのにねえ．もうすこしリアリティがあってもよかったんじゃないかなあ，と思う．そのあたりは三谷さんらしくないかなあと． 上の話の原因でもあろうが，全体的に各登場人物のキャラクター描写が重視されていて，ストーリーのリアリティはやや乏しく感じた．そのせいか細切れ感があった．いろんな要素が盛り込まれているのだが，そのそれぞれのドラマは薄い感じ．三谷監督が本作を「日本映画のようなアメリカ映画」と言っていたように記憶するのだが，これがアメリカを舞台にした字幕映画だったら，「アメリカで家を建てる」行為のリアリティを知らないから，もっと純粋に面白かったかなあと思った．その意味で本作はアメリカ映画のようである． というわけで，点数をつけたら70点くらいかなあ．映画中に登場する格言に「理想の家は3軒目」とあるのだが，映画の理想も3作目か．1作目は新鮮で三谷さんらしさ爆裂．2作目は映画にも慣れて無難な佳作．3作目の名作を，今から心待ちにしておこう． |