ジム・トンプソンの家に続いては，GPオススメのデパート：ゲイソーン・プラザ＆ナライ・パンに向かった．ゲイソーン・プラザにはタイ・クラフト・ミュージアム・ショップがあり，ここは民芸品を買うにはうってつけのスポットである．僕はカエルの民芸品を買った．彼はくわえている棒で背中を撫でられると，「ケロケロ」と鳴く．鳴き声には個体差があった．

一方のナライ・パンには木彫りの象やシルク製品，Tシャツなどを安く売る店が集まっていて，観光客が多数来ていた．ここではタイ語の書かれたTシャツと，「甘えた坊主」の置物を買った．「甘えた坊主」とは，かつてuno!誌でみうらじゅん氏が紹介していた「いやげ物」のひとつである．いやげ物とは，どこの観光スポットにもなぜかある，誰が買うんだぁーっていういやーなおみやげのことで，ペナントとか東京タワーの置物などがその代表例である（この「甘えた坊主」，本当は贈った相手にHappyとLuckyをもたらすありがたーいおみやげらしいのだけれどもね）．なお，買おうとしたら2つで150Bと言われ，「甘えた坊主」は「甘えたおかん」とのセット物であったことが判明した．

バンコクを訪れたこの2000年7月の話題に「そごう倒産」というのがある．バンコクにもそごうがあり，グッチやハンティングワールドといった有名ブランドを数多く取り扱っているのだが，倒産話を待たずに客足は遠のいていたらしい．バンコクの今は「伊勢丹」が強いとのこと．そごうの隣には，神の使いといわれるエラワン（象）を祀るエラワン・サンプラプロムがあった．なんでも，宝くじ当選を祈願した老婆のくじが大当たりし，当たれば裸で踊ることを誓った老婆はそれを実行したらしい．以来，舞が奉納されているそうだ．

続いて地元の高校生達に人気の巨大ショッピングセンター：マー・ブロンクン・センターに行ってみた．ありとあらゆる種類の小さな店が全6階のフロアに所狭しと並んでいた．7階には映画館があったりゲームセンターがあったり活気はすごい．しかしビルの吹き抜け部分に浮かぶ昆虫のオブジェはちょっとどうなんでしょう？お笑いTシャツも売っていて，GPは「フランチェスカTシャツ」を着た欧米人を見たとき，「そうか，おまえはフランチェスカって言うのか」と思うと笑いが止まらなかったらしい．

夕方になり仕事を終えたGPとデュシ・タニで合流．タイ舞踊を見てみたいという僕のリクエストに答えて，GPがタイ舞踏を見ながら食事のできる，オリエンタル・ホテルのレストラン「サラ・リム・ナーム」を予約してくれた．ちょっとお茶をした後，オリエンタル・ホテル行きの船が出るリバー・シティへトゥクトゥクで向かった（ここまで待てば，王宮編で乗らなくてもバンコク市内のトゥクトゥクに乗れたというわけである）．リバーシティはチャオプラヤ川沿いに建つ巨大ショッピングモールで，骨董品や家具，仏像を扱う店が数多く並ぶ．たまーにものすごい掘り出し物がでるらしく，東南アジア最大規模のの骨董品街なのだそうだ．フジ系の年末番組「明石家サンタ」でかつてプレゼントされた「さんまが加藤紀子にあげたいやーな置物」風な骨董品多数あり（伝わる？）．

たしか午後5時半ごろに船着場に着き，オリエンタル行きの船を待ったのだが，待てども待てども来やしない．こっからながーいこと待つことになる．今回の旅は乗り物運が本当に良くなかった．チャオプラヤ川の向うに沈む夕日を見たり，完成から5年経っても開業できないお化けホテルなどを見ながら待っていると，雨もぽつりぽつり．そばにいたタイ人一家も心配してくれてる．そんなこんなですっかり日が落ちた7時過ぎに船が到着．7時半開始の夕食になんとか間に合ったが，オリエンタル・ホテルは，なんとも遠かった．

1時間ほど食事をしたあと，タイ舞踊の開始．僕には上手いのか下手のかがまったく判断つかなかったのだが，GPによると相当上手とのこと．一番キレイどころのおねーさんが，なんだかうつみ宮土理に見えてしかたなかった．ダンス内容は，お釈迦様が邪心と戦う様子など，非常に有名な演目だったらしい．さて，食事を終えて会計の段になり，2人で3000B．ここで僕はしくじったことに，1500Bしか持っていなかった．なんとか1人分は払える額だが，全部払うと帰りのタクシー代がなくなる．GPに相談すると「タイ出国時にかかる空港使用税500Bも残さないと！」と言われ，結局ここもご馳走になってしまった．ちょっと情けない．この借りは必ず返すぞと，固く心に誓う．このあと，オリエンタル・ホテル内のバーでジャズなんかを聞いた後，ホテルに帰って，GPと別れた．GPには本当に本当にお世話になり，ごちそうになり，そしておみやげにベンジャロン焼きまでもらってしまった．本当に本当にありがとう．ここに感謝の意を記しておく．

あとは帰国である．朝6時の飛行機ということもあり，ホテルを3時にでることにして，寝ないで夜を過ごした．テレビでMTVをつけていると，懐かしい曲がかかる．INXSの"Disapper"は高1のころに良く聞いた曲だ．ROXY MUSICの"more than this"もかかりうれしい．第三舞台曲だ．そしてRED HOT CHILI PEPPERSの"CALIFORNICATION"がかかる．TVゲームを模したビデオクリップが面白く，そしてなんだか曲の感じが非常に気に入る．最後の最後ではあったが，この曲をタイ旅行のテーマソングにした．空港へ向かうタクシーの中，日本へ向かう飛行機の中，家へ向かう列車の中，ずっとこの曲が鳴り響いていた．