Second rule of FIGHT CLUB:
You do not talk about fight club.

1つ目はSPA!誌上の映画評で，ここでは毎週タイムリーな話題作と，ちょっとツウ好みの作品が1つずつ紹介される．決して作品をけなさない情報誌的文章がつづられるのだが，ツウ好み向けとしてピックアップされる作品が時々興味をそそる．"open your eyes"はこれを読んで見に行った． 

2つ目はMen's Walker(MW)誌上の映画評である．レアな情報が丁寧に拾われていて，かつ，つまらない点もつまらないとちゃんと書いてくれるので大変ありがたい．シネ・ヴィヴィアン・六本木の閉館やTHE HI-LO COUNTRYにベネロペ・クルスが出ていることはここで知った．いわゆる情報誌の映画評っぽくないので，観る前に読むというより観た後に読んで納得することが多い． 

3つ目は"CinEX-5"というメールマガジンで，ここでは海外映画評論家のレビューが日本語訳で読むことができる．観て痛快！ああ楽しかった，という映画には辛口で，きっちりと練られた映画を高く評価する傾向がある．これが僕の好みにすごくマッチしていて，一番信頼している映画評である．「暗くなるまで待って」では取り上げなかったが，"ビューティフル・ライフ"はここでの好評価につられて見に行った．

まずはSPA!が， 

相手が降参するまで，素手で殴り合い，意識の限界まで肉体を痛めつける．その痛みと苦しさに耐えることで自己の存在を確認しようとする男たちの集団が，ファイト・クラブだ．

と紹介し，エドワード・ノートン演じるナレーターとブラッド・ピット演じるタイラーがファイト・クラブを組織するということがわかる．なるほど，殴り合いの映画なのねと思ったのだが，1つ気になる文章が続いた． 

肉体の痛みによって自分を解放していくのだが，この映画の本論はむしろここから後にある．

本論って，何だ． 
 

これはB・ピットの映画ではなくE・ノートンの映画だ．ブラピ効果で女性客が映画館に押しかけるだろうが，男性諸氏もブラピだからと敬遠せずに鑑賞るべし．この映画は男の為の映画である．ブラピに現をぬかしている娘っ子には理解できないであろう．何しろ暴力や苦情によって精神の浄化を図ろうとする非道な男たちの物語なのだから．
なにはともあれE・ノートンがいい．D・ホフマン出現の時と同じ匂いがする．ブラピ，見事に食われたなって感じだ．

あおるあおる．他にも「ほほう」と思わせる批評文が続く． 

そして最後に"CinEX-5"． 

この『ファイト・クラブ』には，予告編で見ただけでは分からないような意図が含まれている．考えてみると，プロでもないボクサー達が死ぬほど殴り合う139分の映画がなぜ面白いのだろう？
『ファイト・クラブ』に関してはそんな疑問を呈さなくても大丈夫だ．この映画の考えていることはもっと大きいものだから．

この映画の考えていることって，何だ． 
 

内容は「時計仕掛けのオレンジ」ばりに刺激的だ．そしてある種の教訓映画でもあった．日頃抱えているありふれた悩みに対してガツンとかまされて，少し本質に気がつけた気がした．憧れ・嫉妬・欲望・怒りといったものは，外側ではなく内側にあるのだ，ということに． 

さて，何が本論だったのか，E・ノートンはどうブラピを食ったのか，この映画の考えていることってなんだったのか．それは是非，劇場やビデオで確認されたい．ファイト・クラブ規約第1条「ファイト・クラブについて口にするな」，ファイト・クラブ規約第2条「ファイト・クラブについて口外にするな」というのは，観客に向けてのメッセージでもある（かもしれない）．同時期公開の"THE SIXTH SENSE"が「（映画中の）『ある秘密』をしゃべらないでください」という文句で宣伝しているが，これはこの"FIGHT CLUB"にも当てはまるであろう．