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スペイン風 クラインの壷
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ハンサムな男として生まれ自由な恋愛を楽しみ，
親の遺産を元に裕福な生活をおくる青年セサル．
しかし彼の人生はある交通事故を機に一変してしまう．
顔は醜く変貌し，恋人ソフィアからも冷たくあしらわれてしまうセサル．
だが，ある朝目覚めるとすべては一転する．
すべては元に戻り，再び薔薇色の人生が訪れる．
悪夢から覚めたように．
しかし，彼の見る本当の悪夢とは．．． |
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愛，疑惑，恐怖，サイエンス・フィクション，
巧妙に仕組まれたスペイン産スリラームービー
『Cube』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督も絶賛の声を寄せ，東京国際映画祭でもグランプリを獲得．
その『Cube』と同じくシネ・ヴィヴィアン六本木にて公開．僕的には，観ない手はない．「ハンサム男の顔が醜く変貌した後に見る悪夢」とはなんぞや，という興味もあって観に行く． |
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| 主人公の見る悪夢と対称をなすであろうオープニングでは，どんなプレイボーイぶりが観られるのかと思っていたら，主人公のセサルが一目惚れするソフィアに，僕も惚れてしまう．
演じるは同い年（1974年生まれ）のペネロペ・クルス．昔好きだったゴクミ似．僕ってラテン系が好きだったんだという原点を思い出す．黒髪でロング，ストレート．途中で僕好みの髪をアップにした場面もありグー．
その登場から彼女から目が離せなくなり，「なんでセサルと相思相愛？」と，ちょっと悔しく思いつつ観る．（その問いに，この映画は答えてくれた） |
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このペネロペ・クルスの存在を知り，一目惚れした直後のなんとも言えない雰囲気を堪能し，セクシーなベッドシーンもあったりして，非常に幸福な気分に浸りながらの映画鑑賞となったのだが，加えて話自体も思わぬ方向へと展開し，なかなか満足度の高い映画であった．
この映画，「クラインの壷」だったのだ．（以下ネタばれあり）
「クラインの壷」とは，「メビウスの輪」の次元がひとつ上がったもので，「メビウスの輪」だと面の表がいつのまにか裏になるのだが，「クラインの壷」だと，壷の中だと思っていたらいつのまにか外になる，というものである．筒の口を4次元目の方向にねじってくっつけると，筒の中と外がくっついて，不思議な壷となる． |
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| では，何が「クラインの壷」なのかと言うと，この映画では壷の外が現実世界で，壷の中が仮想世界にあたる．現実世界と仮想世界のつなぎ目がわからなくなることで（二つの世界がまったくそっくりならば可能），主人公のセサルはいつのまにか壷の中である仮想世界に迷い込むのである．しかもセサルは仮想世界の存在を知らないので，そこは現実世界だと思いこんだまま，世界をさまようのである．それがどんな悪夢を生むのかは劇場で確認されたし．観る前の予想を裏切られた，非常に理系な悪夢． |
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秀逸なプロット，美しい女優，そして画面いっぱいに広がる闇と青空，そして音楽もよい．
フランス映画のような，カナダ映画のような，そんな，スペイン映画．
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